エンジニアとしてのコミュ力をあげるために心掛けていること
久しぶり&病み上がりの執筆なので、ちょっとふわっとした内容書きます。私みたいな人間が日々心がけている程度のことなので、ふわっと読んでもらえれば幸いです。
意見が並行線、の原因はコンテクストのズレにある
仕事に関わらず、社内外で議論する際に発生する意見の対立の大きな原因の一つに コンテクスト のズレがあると考えています。
例えば、弊社アジャイルについての初期の勉強会で出題された問題で以下のような問題がありました。
Q.アジャイルでは要求の変化を受け入れるため、スコープが徐々に大きくなり、開発規模や予算が当初の規模に収まり切らないという現象(スコープクリープ)が起こることがあります。これは防ぐべきものでしょうか?その場合、どのように対処するべきでしょうか?
この問題に対しての解答を一部抜粋しました。
A. 最初から積極的に防ぐものではない。発生した場合、プロダクトバックログの内容を精査し、優先順位の高いものから実現できる範囲で実現していく。
A. 可能なら防ぐべきではない。その場合、プロダクトオーナーと相談してリリースにどこまで含めるか、どれをやるのか、またいつまでにできそうかを密に連携しなければならない。そのためには、プロダクトオーナーと対等な関係を築くことが必要である。
A. もし、インセプションデッキなどでスコープの他の金額や人員などの要素が優先順位が高いのであれば 防ぐ必要がある。リソースには限りがあることを伝える。
A. 防ぐべきもの。プロダクトオーナーがお客さんと調整し対処する。1スプリントでは計画したことについて作業を行い、追加作業は次以降のスプリントに回す。
筆記形式で解答する問題でしたが、結果だけ見ると、ほぼ半々でした。ここで、面白いのが、結論は異なるとしても、言っていることが必ずしも異なるわけではない ところです。
例えば、「理想的なチームである場合」や「初めて組むチームである場合」といった前提を与えたらどうなるでしょうか。それぞれが書いた理由だけ見るに、少なくとも、弊社プリサー内ではそんなにズレることはなかったのではないかと考えています。
コンテクストのズレの原因は?
では、具体的にどういった状況でコンテクストはズレてくるのでしょうか。
先程の問題の例で言いますと、限られた短い時間内(何分ぐらいか忘れましたが)に解答しなければならない、といった状況下でそれぞれ結論を出しました。解答者はこの限られた時間の中で、それぞれが問題の文章から背景を想像して結論を出したはずです。
この 想像された背景の違いが、コンテクストのズレ だと思います。私は、これらの想像される背景の違いは、解答者の経験や文化によって左右されるものだと考えています。実際、解答内容は解答者の直面するプロジェクトを色濃く反映しており、非常に面白い結果となりました。
こうした現象は現場でも非常に多く発生します。
例えば、実際の議論では、決められたタイムボックスの中で行い、与えられた議題に対して、各々が背景や状況を確認し、場合によっては想像しながら進んでいきます。 しかし、こうした状況下で発せられる言葉は、そういったコンテクストが反映されないまま、結論だけが言葉として発せられてしまうことが多々あります。
こうなってしまうと、議論は並行線となってしまい、やがてタイムボックス内に収まらない、なんてこともたくさんあります。
目的を忘れないこと
コンテクストのズレを気をつける、と一言で言っても、人は成長し変わっていくものですから、そう簡単なことではありません。相手によって、そしてその人との関係性によってズレ方も毎回変わります。やれることもたくさんあります。
そんな中、私が心がけていることの一つは「目的を忘れないこと」です。
例えば、彼女の誕生日を祝うべく、奮発して高級レストランで待ち合わせをしたとします。ところが彼女は一向に来ません。10分、30分、1時間経ってようやく彼女は現れました。
そこであなたはなんて声をかけるでしょうか?
- こんな遅れるなんてふざけるな
- 連絡ぐらいよこせ
- せっかく予約したのに台無しだ
- もしかして他の男と会ってたのか
こんな風に考えていれば、出てくる言葉は良くないことばかりでしょう。または、
- 仕事でトラブルがあったのかもしれない
- 途中でなんらかの事故に巻き込まれたのではないか
- ケータイが壊れたのかも
- 具合が悪いのかもしれない
こういうことを選択肢として少しでも持つことができれば、出てくる言葉も違ってくるでしょう。
しかし、このような場面では、発せられる言葉一つで状況は大きく変わります。これからの二人の運命を大きく左右することになりかねません。
ここで言いたいことは、何も都合がいいことを想像しろと言っているわけではありません。
ここで最も重要なのは、目的を忘れないことです。
この彼氏が本当に望んでいたことは何でしょうか?きっとこの彼氏は「彼女を喜ばせよう」としていたはずです。このことさえ忘れていなければ、もしかしたら、この後の二人の夜も素敵な思い出になるかもしれません。
大分遠回りをしましたが、これは普段の議論でも言えることではないかと思います。 「結論が食い違う」や「タイムボックスを守れていない」といった言葉をよく耳にしますが、そもそもコンテクストがずれていたり、議論の目的を忘れていたりはしていないでしょうか?
少なくとも、私は、白熱する議論の中でどうしてもこれら忘れてしまいがちです。 そんなとき私は、発言する前に「本当の目的はなんなのか」を都度都度考えるように心がけています。
余談
私は13年間の交際を経て結婚し、結婚生活3年目を迎え、なんやかんや約15年間人生を共にしています。長続きの秘訣をよく聞かれることがありますが、その一つが「コンテクストのズレに気をつけること」だと考えています。そして、そのためには「一緒に幸せな生活を送りたい」という思いを忘れてはいけないのだと思います。
しかし、親しい人との日常生活ほど、言葉は省略されがちになり、容易にコンテクストのズレが発生しやすくなるのです。かくいう私も、頭ではわかっているつもりでも、いつも怒られる日々を繰り返しています。
そこで、我が家では家庭内スクラムを導入しました!
目的は
- 透明性
- コミュニケーションの活性化
です。こうした日々の営みが少しでも仕事にいかせれば幸いです。そして、仕事で得た知識を少しでも私生活にいかせればこれまた幸いです。
かれこれ1ヶ月楽しく継続しています。この件の結果についてはいずれまた報告します。